大は小をかねる?喉頭鏡のブレードサイズ選択~MacSize-ICU study~

救急医学

気管挿管は救急外来において非常に重要な手技です。一撃必殺(first pass success)は患者の合併症予防に重要で綿密なプラン策定が求められます。薬剤選択やビデオ喉頭鏡を使用するか、などに関しては多くの研究がなされてきましたがブレードの選択はどうでしょう。

ブレードのサイズ選択は直接喉頭鏡であるマッキントッシュに加えて、CMACやMAC Glassなどのビデオ喉頭鏡でも必要になります。経験的に行われているこのサイズ選択においてどのようなサイズがよいのかという研究はあまりありませんでした。そこで行われた研究が今回のMacSize-ICU studyです。
Godet, T., De Jong, A., Garin, C. et al. Impact of Macintosh blade size on endotracheal intubation success in intensive care units: a retrospective multicenter observational MacSize-ICU study. Intensive Care Med (2022). https://doi.org/10.1007/s00134-022-06832-9
https://link.springer.com/article/10.1007/s00134-022-06832-9#citeas

本研究はサイズ3と4を比較したときに3の方が初回成功割合が高かった、という結果になっています。つまりブレードは小さい方が挿管は成功しやすい!というのが今回のメッセージになるわけです。

オープンアクセスの論文なので核となるTableを引用します。

管理人の感想(批判的吟味)

・本結果を持ってしても臨床家としては小さいブレードの場合はブレードが喉頭蓋谷に届かず苦労するという経験は誰しもあるはずです。IPTWで患者の背景の調節をしていますが患者の身長の中央値は170cmとフランスの研究からイメージされる欧米人より小柄です。そのため大柄で明らかにサイズ3だと小さい、と思われる患者にも小さい方がよいと解釈するのは危険な可能性があります。
・また国内ではビデオ喉頭鏡がメインとなってきていますのでビデオ喉頭鏡におけるブレードのサイズ選択は本研究からは分かりません。短いと全く喉頭展開できませんが大きい場合に展開さえできれば挿管に苦労することは無いように思います。
初回成功率75%前後と数%の差をもって自分の慣れたブレード選択を変更するインパクトがあるかは個人の判断によると思われます。
・ICUでの研究ですので救急外来にそのまま適応できるかは不明です。救急外来の挿管は色々な条件がICUや待機手術よりはるかに悪いので解釈には注意が必要です。

  • 直視喉頭鏡のブレードのサイズはどちらでも良いかもと思ったら小さめが良い
  • ビデオ喉頭鏡などの場合はまだ分からない
  • 挿管の研究としては面白い着眼点でした

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