股関節脱臼の整復がまとめられたレビューが出ていたのでこれを期にまとめてみます。
https://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(22)00050-6/fulltext
股関節脱臼は肩関節脱臼などに比べれば稀ですが、できるだけ少ない手技回数でできるだけ早く整復しなければ骨頭の血流障害から壊死にいたるリスクが高くなるため救急医ができるようになる必要のある手技です。一般的に脱臼から6時間以内に3回の整復操作以内に整復すべきとされています。
90%以上は後方脱臼であり、股関節を屈曲したまま後方に強いエネルギーがかかるような事故に多く、最も多いのは自動車乗車中の正面衝突になります。典型的な身体所見は下肢の短縮、屈曲、内転、内旋でレントゲンで確定診断となりますが、近年は人工関節でなければ関節腔内の微細な骨折や骨片を評価するためにCTが勧められているようです。
すべての整復において筋肉の脱力を得るのが重要でそれには適切な鎮痛や鎮痛が欠かせません。股関節脱臼には大きな力がいることが多いため、プロポフォールによる鎮静や大腿神経ブロックなどが勧められています。
整復操作はいくつか知られていますが
Tulsa:https://www.youtube.com/watch?v=Fl71ztyFU7I
Captain Morgan:https://www.youtube.com/shorts/HlMVx-ZWOQg
などが知られています。うまくいくコツは単に股関節を牽引するのではなく少し内旋することかと感じています。そうすると力が弱い人でもうまく入ります。
なれていない人は初回は人工関節の脱臼整復をするべきです。その理由は何回か失敗しても壊死の可能性が上がることがないことや脱臼を繰り返している人がおり整復手技が成功しやすいというのが理由です。件数は多くありませんが必ず遭遇しますので貪欲に機会を狙ってみてください。
- 股関節脱臼は3回以内の手技で6時間以内の整復を!
- 得意な整復方法を1つは持つとよい。
- 初学者はまず人工関節の脱臼整復する機会を(失敗が許される)貪欲に狙おう!
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